中古車販売大手ビッグモーターの不祥事が発覚しニュースでも報道され、大々的に世間で周知されはじめました。
2023年7月にはニュースでも取り上げられましたが、ビッグモーターの不祥事は2016年から新聞などでは取り上げられており今回が初めてではありません。
今回は、2016年~2023年のビッグモーターの不祥事を時系列でわかりやすくまとめ&今までどんな不正があったのか内容について詳しくお伝えしていきます。
●この記事で分かること
・ビッグモーターの不祥事一覧
・ビッグモーターの不祥事の詳細
【ビッグモーター不祥事一覧】不正を時系列で徹底解説
ビッグモーターの不祥事一覧
ビッグモーターの不祥事の一覧です。
・2016年12月:ビッグモーター内の「慣行」発覚
・2017年2月:「慣行」は社長指示であったと判明
・2021年秋:水増し請求が表面化
・2022年2月~:サンプル調で水増し請求発覚
・2023年2.3月:車検不正が発覚で行政処分
・2023年4月:「不正整備」レクチャー動画流出
・2023年7月7日:水増し請求が発覚
・2023年7月14日:損保3社が保険金の返還を求める
(・2023年7月18日:幹部の報酬自首返上)
・2023年7月18日:手順を踏まない工場長の降格処分が発覚
・2023年7月25日:兼重宏行社長&兼重宏一副社長が引責辞任
・2023年7月26日:ビッグモーターが国交省聴取を受ける
・2023年7月28日:国交省がビッグモーターに一斉立ち入り
・2023年7月28日:損保ジャパンがビッグモーターに損害賠償請求の準備を開始

1つずつ詳しく説明していきますね!
2016年12月:慣行の発覚
2016年12月にビッグモーターの「慣行」が発覚しました。
「慣行」の内容は驚くべきもので、「ノルマを下回った場合、上回った店長に現金を支払う」罰金制度です。
自動車保険の契約について月間目標額が定められ、目標を下回った販売店の店長が、上回った店長に現金を支払う慣行があることが3日、同社への取材で分かった。
引用:https://www.sankei.com/article/20161204-HM7ZEJJQ6NMD7M5OKBXFT6LD3A/



慣行のイメージ図です。


前月の実績に応じ、目標を達成できなかった店の店長から10万円を上限に現金を集め、達成した店の店長へ分配する。店長が交代すれば1カ月だけ免除されるという。
引用:https://www.sankei.com/article/20161204-HM7ZEJJQ6NMD7M5OKBXFT6LD3A/
達成しなければ「(多くて)10万円罰金」という制度です。
これについて、会社側は「会社とは関係なく行われていた」と説明しています。
会社からは一切強制していないため、違法性はないと認識している。拒否できない空気があったのであれば、会社として配慮すべきだったかもしれない。
引用:https://www.sankei.com/article/20161204-HM7ZEJJQ6NMD7M5OKBXFT6LD3A/2/



強制はしてなくても、兼重社長は罰金制度を知っていたということですね!
2017年2月:「慣行」は社長指示であったと判明
2016年12月に発覚したビッグモーター内での「慣行」について、会社側は「強要してない」とのコメントでしたが、実際はビッグモーター兼重宏行社長が指示していた可能性があるということが2017年2月に分かりました。


兼重社長が社員へ宛てたメールに「罰金を払うということは、店長としての仕事をしてないということだ!」と記載されていたようです。そして、罰金の金額設定に兼重社長が関わった判断できるメール内容も見つかりました。
月間目標額について「過去に(達成可能な)1人当たりの増収額を全店長に質問したところ、50万円なら可能というので、それなら25万円なら間違いないねということで月額25万円を基準にスタートしました」と書かれ、兼重社長自身が設定に関与したことを示す内容もあった。
引用:https://www.sankei.com/article/20170226-LIZRDSJ2NBPDNOHNPBTCKPWCCU/
これを見て専門家も「会社側の関与は明白だ」としています。



社長が金額設定をしたとなると、社員はやらざる負えないですよね…
兼重社長は慣行が明るみになった後、「中止させた」とのことなので現在罰金制度は廃止になっています。
『会社としての関与』という質問には、昨年12月の記事に対する取材で説明しています。不適切な罰金であると考える方もいらっしゃることも踏まえ、店長間での行為としても中止させています
引用:https://www.sankei.com/article/20170226-LIZRDSJ2NBPDNOHNPBTCKPWCCU/2/



「強制」してないと主張していますが、「強制」しているようなものですよね…
2021年秋:水増し請求が表面化
ビッグモーターの「水増し請求」が表面化したのは2021年秋頃です。


損保業界に対して、ビッグモーターの内部告発がありました。
損保の業界団体に「上長の指示で過剰な自動車の修理をし、その費用を保険会社に請求している」という旨の内部通報があったことがきっかけだ。
引用:https://toyokeizai.net/articles/-/614505



このことがきっかけで、ビッグモーターと取引のある損保3社が調査をはじめます。
損保3社とは「東京海上日動火災保険」と「損害保険ジャパン」、「三井住友海上火災保険」です。
2022年2月~:サンプル調査で水増し請求発覚
内部告発によりビッグモーターと取引のある損害保険ジャパン、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険の3社がサンプル調査を実施しました。
すると、「水増し請求」と疑われる案件が80件見つかり、中には悪質なケースもありました。
損傷のない車両のパネル部分に板金塗装を施したり、中古部品を新品と称して付け替えたりといった不正が疑われる悪質なケースもあったようだ。
引用:https://toyokeizai.net/articles/-/614505
その後、3社はビッグモーター側に自主調査を要請します。
しかし、ビッグモーター側の意見などが原因で調査は難航します。
「工場と見積作成部署との連携不足や、作業員のミスなどによるもの」「意図的なものでないことを確認している」などと整理し、兼重宏行社長の指示をはじめ組織的関与はないと主張しているためだ。
引用:https://toyokeizai.net/articles/-/614505?page=2



この時もビッグモーター側は「組織的関与を否定」しました。
ちなみに、調査の難航理由には「損保ジャパン」も関与していると言われています。
2023年2月.3月:車検不正が発覚で行政処分
その後、2023年2.3月に車検不正などを理由に3店舗が行政処分となりました。
昨年2月には滋賀県のびわ湖守山店に、不正改造などを理由に近畿運輸局から事業停止処分が下された。今年2月には佐賀県の唐津店が、3月には熊本県の熊本浜線店が車検の不正などを理由に九州運輸局から保安基準適合証の交付停止や民間車検場の指定取り消し処分を受けている。
引用:https://friday.kodansha.co.jp/article/307591



3店舗も…


この件に関しても、ビッグモーターは「店側の責任である」としています。
店側は運輸局に対して不正を認め、「店の責任で所有者に連絡し、再入庫させて検査する」と説明したという。
引用:https://www.asahi.com/articles/ASR3X5J2ZR3XTIPE017.html



相次ぐ不祥事…本当に店側だけの責任なのでしょうか?
2023年4月:「不正整備」レクチャー動画流出
「車検不正」の不祥事が発覚後の2023年4月に「不正整備」のレクチャー動画があったことが報道されました。


動画はタイヤを意図的にパンクさせる方法をレクチャーしたものになります。穴を空けていたのはお客様の車です。(中略)パンクの目的は工賃を請求するためです。
引用:https://friday.kodansha.co.jp/article/307591



なんとビッグモーターの不正の証拠を元社員の方が提供したのです…!
不正の告発の内容は信じられないものばかりでした。
・保険金の中抜き
・無資格者による車検が行われていた
・理不尽なノルマのために不正が仕方なく行われていた
ビッグモーター社員内での不正内容のLINEも流出しました。





証拠がこんなに…
もはや言い逃れできない状況になってしまっています。
2023年7月7日:水増し請求が発覚
2023年7月7日に2度目の「水増し請求」が発覚しました。
中古車販売大手のビッグモーター(東京)が事故車の修理代を損害保険会社に水増し請求し、保険金を過大に受け取っていたことが7日、分かった。
引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/8222bd571fd86594d94bb0d7ac70901f8288a670



なんとサンプル調査のうち4割超で不正な修理が発見されました…


調査の結果、損保3社が動き出します。
2023年7月14日:損保3社が保険金の返還を求める
不正な水増し請求が行われていたことが新たに分かり、損保3社はビッグモーターに保険金の返還を求めました。
ビッグモーターが、車の修理費用について、自動車保険の保険金を不正請求していたとして、大手損害保険3社が払いすぎた保険金の返還を求めている。
引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/15f5da9a6e1c2d794ff958cf79cc5401f07c78a1
2022年の水増し請求発覚時には頓挫してしまった追及ですが、今回は「保険金返還」を求めるまでに発展しました。





4月の不正流出や特別調査委員会が決め手だったのかもしれませんね…
2023年7月18日:幹部の報酬自首返上
一連の流れを受けて、2023年7月18日にビッグモーター側は水増し請求の経営責任として幹部の報酬自主返上が行われました。
同社は兼重宏行社長が報酬全額を1年間返上すると発表。副社長ら4人の幹部も報酬の10~50%を3カ月返上する。
引用:https://www.jiji.com/jc/article?k=2023071800921&g=eco



報酬自主返上以外の対応はありませんでした。
2023年7月18日:手順を踏まない工場長の降格処分が発覚
また、同日に「工場長の降格処分」について不正に行っていた可能性があるという報道が行われました。


内容は、水増し請求の指示を行ったとされる工場長を「手続きを踏まずに」降格処分していたことが分かりました。
会社の経営幹部らが、車を修理する工場の責任者に対し就業規則で定められた手続きをふまずに降格処分を繰り返し行っていたことがわかりました。
引用:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230718/k10014134581000.html
降格処分された工場長の数は、「2020年に延べ20人、2021年に延べ15人、2022年に延べ12人に上る」とのことです。
かなり多いですね!
今後も次々とビッグモーター内部の状態が明らかになってきそうな予感です。



今後のビッグモーターの対応については、こちらの記事でまとめています!
2023年7月25日:兼重宏行社長と兼重宏一副社長が辞任へ
2023年7月25日に兼重宏行社長の謝罪会見が行われ「引責辞任」をすることを発表しました。
2023年7月26日付けで、兼重宏行社長と宏一副社長が退任します。


今後は、新社長である和泉伸二さんのもと、対応が行われていくという事です。



今までのビッグモーターの悪質な対応については次でまとめています。
2023年7月26日:ビッグモーターが国交省聴取を受ける
2023年7月26日にビッグモーターの新社長に和泉伸二さんが就任し、国交省聴取が行われました。


7月26日の国交省聴取を終えたあと、詳しい内容は後日としたうえで「理解を得られた」と話していました。
7月28日:国交省がビッグモーターに一斉立ち入り
しかしながら、国交省聴取を踏まえたうえで「さらなる聞き取りが必要」だと判断し、2023年7月28日の午前9時から「抜き打ち立ち入り検査」が行われました。


聞き取りの内容を踏まえ、追加の事実関係の確認が必要と判断したため、28日午前9時からビッグモーターの全国34の店舗に一斉に立ち入り検査に入った。
引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/470870752e7e7dce510f083d14f920530e6b7392



34店舗も…
調査が入った店舗は以下です。
立ち入り検査を含め、今後ビッグモーター不正について判断されるのだと思います。
2023年7月28日:損保ジャパンがビッグモーターに損害賠償請求の準備を開始
2023年7月28日の21時に損保ジャパンがビッグモーターとの契約終了すると発表しました。
損害保険ジャパンは28日、ビッグモーターとの保険代理店契約を終了し、損害賠償請求を行う準備を進めると発表した。
引用:https://www.asahi.com/articles/ASR7X6WNRR7XULFA032.html
そして、今後損害賠償請求を行っていくとしました。


損保ジャパンといえば、ビッグモーターの不正を知りながらも金融庁に虚偽の報告をしたとして「ビッグモーターとの癒着」問題があがっていました。
今後、ビッグモーターと損保ジャパンの関係も明らかになっていくと思われます。
ビッグモーターの悪質な不正内容
現時点で、ビッグモーターの不正した内容についてまとめます。
- ローンのゴリ押し
アドオン方式のローンを組ませて結局は100万円で済むところを130万円支払う - 水没を隠して販売
お客には水没車であることを偽って販売→客が気づくも「知らなかった」と店側の補償なし - ウソによる引き取り
ウソをつき数百万円の価値がある旧車をタダ同然の値段で引き取り - 2万円の車庫証明費用
ウソをつき、車庫証明費用として2万円を請求 - 謎の費用を事前請求
8万円の納車準備費用という謎の費用を事前に請求し、整備なし - タイヤのすり替え
新古車契約のはずが、タイヤは全部溝無しの古いタイヤ - 3~4時間の軟禁
契約するまで3~4時間閉じ込められ帰れなかった - 買取金額から「減額」
クレームをつけて買取金額から数十万円の減額
その他にも、LINE画像の流出や元社員による告発、お客様からの声で次々とビッグモーター内部の現状が明かされています。



どれもかなり悪質ですね…
ビッグモーターの今後に注目していきます。